黒猫*溺愛シンドローム
「なんかお腹すかない?
時間も時間だし…何か食べて帰ろっか?」
……それなのに、コイツときたら。
気にするどころか、気づいてすらいない…よね?
「浅海さんは、何が食べたい?」
それどころか、忙しさにかまけて否定も弁解もしないまま姿をくらましてるもんだから……
残されたこっちが、集中攻撃だよっ。
そりゃ、直接何かを言ってくる奴はいないから、
よくある“呼び出し”やら“いじめ”やらとは無縁だけどさ。
でも、
人に会う度に、好奇の目を向けられてコソコソされるこっちの身にもなれ、っての!!
一部じゃ、
“問題児の”私が、王子様を“誘惑した”ことになってるらしいし。
逆だから!
私はあくまで“被害者”で、あのときだって……
あーっ。思い出しただけで、腹立たしい。
あの日。
あんなところを見られて。
しっかり“証拠”まで残された私。
すべてはコイツのせいだ!
責任取ってよ!
傍にいて、噂から守るのが普通でしょ?
キッと睨みつけてみたものの……
「え?何?」
全然、伝わりゃしない。