黒猫*溺愛シンドローム




「浅海さん?えっ?」



びっくりして離れたのは、コイツのほうだった。



「…えっ?…何?なんで?」

「や…その……」



無意識、だった。

その温もりと香りが、なんだか妙に心地よくなってきて。

このままでもいいか、なんて思えてきて。


気がついたら……



「浅海さん、今……
抱きしめ返してくれた、よね?」



コイツの背中に、腕を回していたんだ……




「やっ…違っ……これは……」



認めたくなくて。

でも、誤魔化すこともできなくて。


慌てて離れてみたものの、コイツが諦めてくれるわけもなく……



「うわぁっ。なんか、すごい幸せだぁ。」



再び、ぎゅーっと抱きしめてきた。



「なっ…ちょっ……」



……なんで?


私、どうしちゃったんだろう?


久しぶりだから?


なんかどこかおかしくなった?


なんで


コイツの腕の中で


こんなに、安心しちゃってるんだろう?


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