黒猫*溺愛シンドローム
「……浅海さんは」
私を抱きしめたまま、王子がぽつりと呟いた。
「浅海さんは、寂しかったんだよね?」
「……は?」
慌てて顔を上げれば、
「ごめんね。ここんとこ、ずっとかまってあげられなくて。」
申し訳なさそうに、私を見つめる瞳。
「だから、さっきから様子が変だったんだよね。
でも大丈夫。もう、寂しい想いはさせないようにするから…」
切な気な声が聞こえたかと思うと、私を抱きしめる腕に力がこめられた。
「ちょっ…」
言ってる意味が、わからない。
でも、抵抗もできない。
離れられない。
「カリンもね、あったんだ。そういうとき。」
耳元でしゃべらないでほしいっ。
……って、またカリン?
「だいぶ俺に慣れてきた頃、ちょうど生徒会に入ったりして忙しくなってさ。
帰りも遅いし、疲れてるし…で、あんまりかまってあげられなくて。
そしたら……」