黒猫*溺愛シンドローム




「歩!」



昼休み。渡り廊下。

ミーティングを終えて、教室に戻る途中。

名前を呼ばれて、振り返ってみれば……



「ちょうどよかった。
今から、お前のとこに行こうと思ってたんだ。」



爽やかに笑う男子生徒。

少しだけ息が上がっているところを見ると、俺を見つけて走ってきてくれたみたいだ。


スラリとした長身。

程よく締まった身体。

短い黒髪に日に焼けた肌。


男の俺から見ても、普通にカッコイイ。


“硬派なスポーツマン”って感じのこの人は……



「“修ちゃん”!」



彼女の“幼なじみ”だ。



「……いい加減、その呼び方はやめてくれよ」



周りの生徒の視線を気にしつつ、困ったように笑ってるけど……



「でも…みんな、そう呼んでるし」



俺の中では、もう定着しちゃってるんだよね。



「いやいや。あいつらだけだって。」


「そう?」


「そうそう。だから、普通に呼んでくれる?」


< 153 / 310 >

この作品をシェア

pagetop