黒猫*溺愛シンドローム
「歩!」
昼休み。渡り廊下。
ミーティングを終えて、教室に戻る途中。
名前を呼ばれて、振り返ってみれば……
「ちょうどよかった。
今から、お前のとこに行こうと思ってたんだ。」
爽やかに笑う男子生徒。
少しだけ息が上がっているところを見ると、俺を見つけて走ってきてくれたみたいだ。
スラリとした長身。
程よく締まった身体。
短い黒髪に日に焼けた肌。
男の俺から見ても、普通にカッコイイ。
“硬派なスポーツマン”って感じのこの人は……
「“修ちゃん”!」
彼女の“幼なじみ”だ。
「……いい加減、その呼び方はやめてくれよ」
周りの生徒の視線を気にしつつ、困ったように笑ってるけど……
「でも…みんな、そう呼んでるし」
俺の中では、もう定着しちゃってるんだよね。
「いやいや。あいつらだけだって。」
「そう?」
「そうそう。だから、普通に呼んでくれる?」