黒猫＊溺愛シンドローム

「わかった。普通に、ね。……あ。」



そう言えば……



「えーと…ごめん。
修ちゃんの名前って……」



考えたら、聞いたことがなかった。


彼女とくるみちゃんが呼んでるのを聞いて、覚えたようなものだし……


“修ちゃん”のほうは、なぜか最初から俺のことを知ってたから、改めて自己紹介なんてしなかったし？


同じ学年とは言え、今までまるで接点なんてなかったしなぁ……



「……もしかして、知らない、とか？」


「あー…うん？」



申し訳ないと思いながらも頷けば、



「はぁっ…お前、よくそれで生徒会だのクラス委員だのやってられるよなぁ。」



呆れたようにため息をつかれてしまった。


うーん…。なんか、複雑。



「……そういうとこ、風歩とよく似てるよ。」


「へっ？」


「俺は、修司。
北原修司(ｷﾀﾊﾗ ｼｭｳｼﾞ)。」



覚えてくれよ？と念を押すように言ってから、



「ほい、コレ。」



“修ちゃん”は、俺に何かを差し出した。



「……？」