黒猫*溺愛シンドローム
「おはよう。」
ごく自然な流れで彼女の傍に近づいて、声をかける。
俺の席は、彼女の隣。
先週の席替えで、“偶然”を装って手に入れた。
普段真面目なクラス委員の特権ってやつ?
こんなことしたのは、さすがに人生で初めてだけど。
どうしても接点が欲しかったんだ。
「浅海さん?おはよう。」
机に伏せたままの彼女に、もう一度声をかける。
……寝てる?
自称“低血圧”な彼女は、毎朝こんな感じだけど……
やっぱり、朝の挨拶はしておきたいな。
しばらくじーっと観察していたものの、起きる気配はない。
……残念。
でも、それなら。
ゆっくり近づいて、俺はそっと手を伸ばす。
その綺麗な髪に。
あわよくば、その柔らかそうな頬に。
……触れてしまおう。
見てるだけでうずうずしてくるんだ。
触りたくて仕方ない。
ちょっとくらい、いいよね?
「……ん?」