黒猫*溺愛シンドローム
「あ、おはよう。」
――いつもの朝。
年中無休の睡魔に加えて、
冬の寒さという、季節ものの厄介な敵。
やっとの思いで打ち勝って、フラフラな足取りでリビングの扉を開けた私。
「……はっ?」
目の前の光景に、一瞬にして目が覚めた。
……これは、夢?
「よかった。そろそろ起こしに行こうと思ってたんだ。」
にっこり微笑む、その姿は相変わらず綺麗で。
朝っぱらから、爽やかオーラ全開だ。
同じ人間とは思えない。
ゆったりと腰を落ち着けて、優雅にティーカップを操るその仕草。
絵になるどころか、ここが日本だってことすら忘れちゃいそうだよ。
充満する、高級そうな紅茶の香り……って。待って。
「なんで?」
まるで自分の家の如く、
思いっきりくつろいでいらっしゃるけど……
「なんで、いるの?」