黒猫*溺愛シンドローム
ここは、
紛れもなく“私の”家。
さっきまで寝ていたのは、確かに自分の部屋のベッドだし。
ひんやりした廊下。
見慣れたリビング。
両親はとっくに仕事に出かけたはずだから、
本来なら、ここには私しかいないはず…なのに。
「ちょっと待っててね。
今、朝ご飯の用意するからね?」
当たり前みたいにキッチンに向かいながら、にっこり微笑む“不法侵入者”。
入り口で固まる私のことなどおかまいなし。
楽しそうに、何やらカチャカチャやってるけど……
「……ねえ?」
ここは、流されちゃいけない。
「なんで、ここにいるの?」
「……ん?」
「どこから入ったの?
朝っぱらから、人ん家で何してんのよっ」
「え?あぁ。」
戸惑い半分、怒り半分。
私の怒鳴り声に動じることなく、
「迎えに来たんだ。」
そいつは笑顔のまま、平然と言い放った。