黒猫*溺愛シンドローム
“カリン”=黒猫(♀)
風見家のペット。
王子様は、人間の女の子よりも猫が好き。
その溺愛ぶりは、そりゃもう半端じゃない。
寝ても覚めても、
カリン、カリン……
ただの“猫好き”じゃすまされない。
これはもう、一種の病気としか言いようがない。
だから、
可愛いとか、美人だとか
スタイル抜群だとか…
一般的な男子が好む“女の子”には興味なし。
どんなにモテようが、
“人間の”女の子は今まですべてシャットアウトしてきた…らしい。
なのに……
「……熱かった?」
紅茶を飲もうとしたものの、その熱さに慌てて口を離した私。
王子様がそれを見逃すはずがなく……
「大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込んできやがった。
……ち、近いって。
急いで顔を背けた私に、
「そっかぁ…浅海さんも“猫舌”なんだね」
なぜか嬉しそうに響く声。
「カリンと一緒だね。」
……そう。
その綺麗な瞳には、
私は猫と同じように映るらしく……
それだけの理由で、
私は今、王子様の寵愛を受けている――