黒猫*溺愛シンドローム
あと数センチ。
いや、数ミリのところ。
絶妙なタイミングで、彼女はパチッと目を開けた。
そして……
「うわっ!」
俺の姿を捉えるなり、すぐに何かを察知したらしく、
「へ…変態っ!セクハラ!」
急いで後ずさると、机の上にあった教科書を立ててバリケードを作り始めた。
「こ…ここから先には近づかないでよねっ。
今度何かしたら、訴えてやるんだから!」
小学生みたいなことを言って、俺を思いっきり睨みつける。
その姿は、まるで
毛を逆立てて人間を威嚇する……猫、みたいだ。
フーッと言う、唸り声が聞こえてきそう。
カリンそっくり。
思わず笑みがこぼれた俺に、
「な…何で笑うわけ?」
さらにかあっとなる彼女。
ホントに、もう。
なんて可愛いんだろう?