黒猫*溺愛シンドローム
浅海 風歩の名前は、
だいぶ前から知っていた。
この学校では異質な存在だったから。
ここは偏差値も進学率もトップクラスの進学校。
大学に行くために来るようなところだから、基本的にみんな真面目。
授業をサボるなんてあり得ない。
そんなことをしたら、ついていけなくなるからね。
なのに、彼女は……
気が乗らなければ、欠席。
堂々と居眠り。
ふらりと現れては、いつの間にかいなくなる。
とにかく自由。
束縛を嫌い、人と群れることを嫌う。
この場所に、とてもそぐわない人間。
まるで“猫”。
会ったことはなかったものの、彼女の噂は嫌と言うほど耳に入ってきて……
俺はすごく興味を持った。
だって
噂が全部本当なら、
彼女はまさに、俺の“理想の女の子”だから。