黒猫*溺愛シンドローム
「浅海さんも、いずれそうなると思うよ。」
「はぁっ?」
あ、聞いてくれてたんだ?
勢いよくガバッと起き上がってこっちを見た彼女。
その姿もやっぱり可愛い。
にっこり微笑んで、俺は続ける。
「浅海さんは、きっと俺になつく。
……あ、俺を“好きになる”って言ったほうがいいのかな?」
「……は?何でそうなるわけ?」
思いっきり、顔をしかめられてしまった。
でも、めげない。
だって、本当のことだし。
「俺の愛情は、誰よりも深いから。
猫も人も。それに抗えるわけないもん。」
“生き物”は、愛情を持って接すれば必ず心を開いてくれる。
ただでさえ、浅海さんはカリンにそっくりなわけだから。
近づく方法は習得済みだ。
「……バカじゃないの?」
俺を見つめる冷ややかな瞳は、あの頃のカリンと全く同じ。
そんなことを言っていられるのも、今だけだよ?