黒猫*溺愛シンドローム




「何もできなくていい、んだってさ。」



意味不明な私を無視して、修司はくるみに向かって続ける。



「料理も掃除も洗濯も…、自分で一通りできるから大丈夫なんだと。」


「え?」


「だから、“いてくれるだけでいい”んだって。」



……ん?



「家にいて、帰りを待っててくれさえすれば…後は全部、自分がやるってさ。」



ちらっと私のほうを見て、意味深な笑みを浮かべると、



「な?だから、お前と風歩は違うわけ。わかった?」



くるみに向き直って、びしっと言った。……けど、



「うっわー!すごーい、風歩ちゃん!!」



くるみは、隣に座る私の手を取って、



「やーっ。あゆちゃんってば最高だね!風歩ちゃん、めちゃくちゃ愛されてるんだねっ」



キラキラした瞳で見つめてきた。



「……は?」


「何もしなくていいから、傍にいてほしい…なんて。きゃーっ。くるみも言われたことないよ?」



……何か、すごく盛り上がってるけど。



「もう学校なんて辞めて、今すぐお嫁に行っちゃいなよ!」


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