黒猫*溺愛シンドローム
「おっ!風歩。やっぱりここにいたのか?」
私を見つけるなり、片手を上げてにかっと笑った。
その声も笑顔も、正真正銘3年ぶりに会う我が兄なわけだけど……
「なっ…何!?その格好」
その姿は、まるで別人。
「何?って言うか誰っ?
なんでそんなになっちゃったの??」
そう思ったのは、私だけじゃない…はず。
修司を見れば、ぽかーんとした顔で固まってるし。
くるみに至っては、上から下まで全身に何度も視線を巡らせてる。
「んー?」
しかも、本人は全くわかってない。
それどころか、
「…しっかし、お前相変わらずちっこいなーっ。小学生みてぇ」
傍にいたくるみの頭をがしがし撫で始めたし…
「なっ…あーちゃんは、ず…随分変わったねぇ?その…」
お兄ちゃんの手を振り払いつつも、視線を泳がせて、言いにくそうに言葉を濁すくるみ。
……くるみがこんなになるなんて、珍しい。
「あ?あー、コレか?
どうだ?似合うだろっ?」