黒猫*溺愛シンドローム




「おっ!風歩。やっぱりここにいたのか?」



私を見つけるなり、片手を上げてにかっと笑った。

その声も笑顔も、正真正銘3年ぶりに会う我が兄なわけだけど……



「なっ…何!?その格好」



その姿は、まるで別人。



「何?って言うか誰っ?
なんでそんなになっちゃったの??」



そう思ったのは、私だけじゃない…はず。

修司を見れば、ぽかーんとした顔で固まってるし。

くるみに至っては、上から下まで全身に何度も視線を巡らせてる。


「んー?」


しかも、本人は全くわかってない。

それどころか、



「…しっかし、お前相変わらずちっこいなーっ。小学生みてぇ」



傍にいたくるみの頭をがしがし撫で始めたし…



「なっ…あーちゃんは、ず…随分変わったねぇ?その…」



お兄ちゃんの手を振り払いつつも、視線を泳がせて、言いにくそうに言葉を濁すくるみ。

……くるみがこんなになるなんて、珍しい。



「あ?あー、コレか?
どうだ?似合うだろっ?」

< 243 / 310 >

この作品をシェア

pagetop