黒猫*溺愛シンドローム





「郷に入りては郷に従え、って言うだろ?」



結構キツく言ったのに。

怒るでもなく、そのままの調子で応えるお兄ちゃん。



「……はっ?」

「周りがみんな金髪で青い瞳なのに、俺だけ黒じゃ浮いちゃうじゃん?だから、だよ。」

「はぁっ?」

「人間、生きていくためには、協調性ってのが必要だからな。うん。」

「………」


……ダメだ。

やっぱりわからない。


カメレオンじゃあるまいし…
何かが明らかに違うよね?



「……アレ?そう言えばギターは?」



言葉を失った私に代わって、ぽつりと呟いた修司。

ギター?あー…


「嵐士くんが持ってたのってアコギだよね?でも…」


ちらっと、お兄ちゃんの後ろへと視線を動かして、


「それってエレキ…だよね?」


遠慮がちに言った。

つられて見れば、そこにあるのは、明らかに細身のギターケース。

その格好には、よくお似合いだけど……


「ああ、これ?」


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