黒猫*溺愛シンドローム
……ダメだ。
話にならない。
3年の間に、ますますパワーアップしちゃってる。
…ん?なんだろう?
この噛み合わない感覚。
つい最近もあったような……
「わーっ。メイドさんのお洋服ってこんななんだ?せっかくだから、風歩ちゃん着てみたら?」
いつの間にか、傍に来ていたくるみ。
ピラピラとフリルをいじりながら、とんでもないことを言いやがった。
「はっ?冗談でしょ?」
「えー?本気だよぉ?
絶対似合うよ。この猫耳もっ。……あゆちゃんが喜びそう。」
ぽつりと呟いた。
「あゆちゃん?」
当然、お兄ちゃんの耳に入らないわけがなく。
目新しい名前に、すぐに食い付いた。
「そう。あゆちゃん!
あ、あーちゃんはまだ知らないよね?あゆちゃんは風歩ちゃんの…「友達、だよな?」
間一髪。
くるみが変なことを言い出す直前で、修司がその口を掌で覆った。
「今は言わないほうがいい」
その瞳は、無言で私にそう訴えている。
……確かに。
これ以上、ややこしくなるのは勘弁してほしい。