黒猫*溺愛シンドローム



「……何?コレ。」


リビングのドアを開けた瞬間、


「どーだ?“お袋の味”ならぬ“兄の味”だぞ。懐かしいだろ?」


漂ってきた味噌汁の香り。

そして、


「日本の朝と言えばやっぱりコレだろ。さぁ、食え!」


テーブルの上に用意されていたのは、

ほかほかと湯気を立てる白いご飯と焼き魚。

プラス納豆に卵焼き。



……完璧、だ。



そうなんだよね。

小さい頃からずっと。

共働きの両親に代わって、私の面倒をみてくれていたのはお兄ちゃんで。

はちゃめちゃな生活ぶりだったけど、朝と夜は必ず一緒にいてくれて。

こうやって、ご飯も作ってくれてたんだっけ…


うわっ。

思い出したら、ガラにもなくジーンとしてきちゃったじゃん。

ヤバイ、ヤバイ。



「お前さぁ…」

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