黒猫*溺愛シンドローム




「ここらへんの不良グループは、全部傘下に入れてたって話だし。」


……すごい。

浅海さんのお兄さんってそんなに有名な人だったんだ?へぇ…


「お前、知らなかったの?」


感心している俺を見て、呆れたようにため息をつくダイスケ。


「信じらんねえ。生徒会だろ?教師と仲良しだろ?少しは耳に入るだろ?」


そんなこと言われても…

知らないから、ダイスケに聞いたわけだし。


「浅海と“つき合う”ようになったときは?何か言われなかったのか?」

「えー?んー…別に?」


先生や先輩たちには“祝福”はしてもらったけど…

彼女のお兄さんの話なんて一度も聞いてない。

前に、修ちゃんが話してくれたくらいだ。


「…つくづく平和なやつだよ。まあ、いいや。せいぜい頑張れ。」


ポン、と俺の肩を叩いて、同情的に笑うダイスケ。


……ん?



「ホント、面倒くさいのに惚れちゃったもんだよ。“知らない”って怖いよなぁ。」

「……?」

「あの兄貴は手強いぞぉ。浅海とは比べものにならないくらい、な。」


< 258 / 310 >

この作品をシェア

pagetop