黒猫*溺愛シンドローム
「ここらへんの不良グループは、全部傘下に入れてたって話だし。」
……すごい。
浅海さんのお兄さんってそんなに有名な人だったんだ?へぇ…
「お前、知らなかったの?」
感心している俺を見て、呆れたようにため息をつくダイスケ。
「信じらんねえ。生徒会だろ?教師と仲良しだろ?少しは耳に入るだろ?」
そんなこと言われても…
知らないから、ダイスケに聞いたわけだし。
「浅海と“つき合う”ようになったときは?何か言われなかったのか?」
「えー?んー…別に?」
先生や先輩たちには“祝福”はしてもらったけど…
彼女のお兄さんの話なんて一度も聞いてない。
前に、修ちゃんが話してくれたくらいだ。
「…つくづく平和なやつだよ。まあ、いいや。せいぜい頑張れ。」
ポン、と俺の肩を叩いて、同情的に笑うダイスケ。
……ん?
「ホント、面倒くさいのに惚れちゃったもんだよ。“知らない”って怖いよなぁ。」
「……?」
「あの兄貴は手強いぞぉ。浅海とは比べものにならないくらい、な。」