黒猫*溺愛シンドローム




「好きに…って。そりゃ、俺は彼女にフラれたばかりだけども!

アイツを好きになるようなモノズキはお前くらいだよ、歩。」



「え?」



「確かに、

浅海は綺麗だし、スタイルいいし…外見的にはパーフェクトだよ。でも――」








……そう。


彼女は見た目も、かなりカリンに似てるんだ。


猫と人間の“美人”の基準を一緒にしたらおかしいとは思うけど。


カリンを人間にしたら、絶対にあんな感じ。


逆に、彼女を猫にしたら、絶対にカリンみたいになるはず。


そのくらい、似てる。



少しつり上がり気味の大きな瞳。


小さな鼻。きゅっと口角の上がった唇。


低すぎず高すぎず、平均的な身長にも関わらず、

小さな顔と長い手足のバランスは絶妙で、実際よりもスラリと高く見える。


細くてしなやかな身体。


極めつけは、あの長くて艶のある黒髪。


真っ黒なのに。

全然重さを感じなくて。


むしろ軽やかに揺れている。


まさに、“黒猫”。



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