黒猫*溺愛シンドローム




ずっと触ってみたかった。


あの髪に指を通して、撫でて…その感触を確かめてみたかったんだ。


見るたびに、無意識に手が伸びそうになって……

俺って相当ヤバイのかもって思ったりもしたけど。


でも、それと同時に安心もした。


自分にもこういう“欲求”があるんだ、ってことに。


見てるうちに、

髪だけじゃなくて、頬とか唇とか肩とか…身体にも触れたいって思うようになって。


抱きしめてみたいとか、思うようになって。


“ひとりの女の子”として求めるようになった。



それは、男としては当然の感情なのかもしれないけど……初めてだったから。


俺にとっては、“初めて”だった。



彼女に出会うまで、“女の子”には興味がなかったから。


……だからと言って、“男の子”に興味があったわけじゃないんだけど。


とにかく、“女の子”を意識したことがなかった。


見ても、何とも思わないし。


心も身体も反応しない。


俺っておかしいのかな?って、ずっと思ってた。



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