黒猫*溺愛シンドローム



「よかったねぇ。」



否定しようと口を開きかけたところで、これまたにっこりされてしまって…


私は何も言えなくなってしまった。



相変わらず、だなぁ。


何て言うか…和むんだよねぇ。癒される、って言うのかな?


雰囲気が柔らかいって言うか、親しみやすいんだよね。

まぁ、くるみの彼氏だから、って言うのもあるのかもしれないけど。


「そう言えば、」


ぼーっとしていた私。
ハッとして顔を上げれば…


「最近“料理”が流行ってるの?」


真面目な顔で、先輩が聞いてきた。


「…へっ?」


「いや…くるみがさ、やたら弁当やら夕飯やら作りたがるから。」


くるみが?


「なんか、本とかいっぱい買い込んで練習してるみたいだし…

今まで全然やろうともしなかったから、何かの影響を受けたとしか思えないんだけど…」


料理……って、ああ!

もしかして、あのときの?



「くるみに聞いても、
“捨てられない女になるの”とか、わけわかんないこと言うし…」


……やっぱり。

気にしてたのね?


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