黒猫*溺愛シンドローム




「“風歩ちゃんとは違うから”とも言ってたから。

風歩ちゃんなら、何か知ってるかなと思って。」



純粋に、理由を知りたがっている…らしき先輩。


いや、でも、さすがに私の口からは言えないよなぁ。


とりあえず、曖昧に誤魔化しておこう。



それにしても…

くるみってば、可愛いとこあるじゃん。


先輩のこと、相当好きだもんねぇ。


入学したときから、ずっと“好き好き”騒いでて。

つき合い始めてすぐ、紹介されたから。


私もよく知ってる。


だから、先輩も“風歩ちゃん”って呼ぶわけで。

私も別に、そう呼ばれて抵抗はない。



なのに、アイツに呼ばれるとダメなんだよねぇ。


単語としては同じなのに。

なんで……



「風歩ちゃん!」



………っ!


ほらね。こう、過剰に反応しちゃう…って、あれ?



「ごめんね?お待たせ。」



絶妙なタイミングで登場。



「予想以上に長引いちゃって…」



ホントだよっ。

どれだけ待ったと思ってるわけ?

文句を言ってやろうと、勢いよく振り返った…とき。



「…あれ?牧野先輩!」


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