黒猫*溺愛シンドローム
「風歩ちゃんが俺のことを好きになってくれたからには、一生手放さない。」
きっぱりと言った、その瞳に嘘は見えない。
「ずっと好きでいるし、傍にいる。俺のほうから離れていくことは絶対にないから。」
よくよく考えれば、明らかにオカシナ発言なのに…
そんな瞳で。
そんな声で。
そんなふうに言われたら、私……
「……俺のものになって?」
話せないし動けない。
ただ、じっと見つめ返すことしかできない私に、再び近づいてくる綺麗な顔。
頭はボーッとして。
促されるように閉じる瞼…ってダメだよ。
「ちょっと待って!」
あと数センチのところで、なんとかストップをかけることに成功。
流されちゃいけない…。
「…私、“好き”だなんて一言も言ってないよね?」
……そう。さっきから、
それを前提に話が進んでるけど。
何をどう勘違いしたらそうなるわけ?
私は決して……
「だって、切れたでしょ?」
「は…?」
「ブレスレット、切れたじゃない?」