黒猫*溺愛シンドローム




……はい?



「あれ?俺、言わなかったっけ?」



理解できない私を見て、
きょとんとした顔で首を傾げる王子様。



「あのブレスレットは、“願いが叶ったら切れる”んだよ?」



そう言えば…そんなこと言ってた気がする。

「願いをかけておいた」とか何とか…



「切れたってことは、
つまり、風歩ちゃんが俺を“好き”になった、ってことでしょ?」


「はぁっ?」



意味わかんない。

なんでそうなるわけ?



……って、まさかっ。



「“俺のことを好きになってくれますように”」



私の表情から悟ったのか、王子様はにっこり笑って言った。



「それが俺の願い事。」


「はぁっ?」


「切れた時点で、風歩ちゃんは俺のことを好きになってるはずなんだよ?」


「なっ…」



何?それ。

そんなの馬鹿げてる。

そんなことで判断しないでほしい。


私は……




「じゃあ、“嫌い”?」



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