黒猫*溺愛シンドローム



「……え?」



さっきまでの笑顔はどこへやら。

私を見下ろす瞳は、いつになく真剣な色をしていて…


何だろう?胸がキュッと苦しくなった。



「見るのもイヤ?話すのもイヤ?…こうやって、触られるのは死ぬほどイヤ?」



言いながら、私の頬に手を伸ばして。



「……っ」



ふわりと、やさしい手つきで撫で上げた。

思わず、びくっとなる。


でも…



「イヤ…じゃない。」



無意識に出てきた言葉。

イヤではない。

むしろ……



「じゃあ、“好き”なんだよ」



私の答えを聞いて、満足気に微笑む王子。

まるで、最初からわかっていたみたいな余裕ぶりだ。



「風歩ちゃんの世界には、
“好き”と“嫌い”二種類の人間しかいないでしょ?」


「……へ?」


「“嫌い”じゃないなら“好き”。簡単なことだよ。」


「………すき?」



私がコイツを…?



「俺は風歩ちゃんのことが好きで、風歩ちゃんも俺が好き。……だったら、問題はないよね?」


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