黒猫*溺愛シンドローム




「ふ…服っ…」



“はだける”とか“乱れる”とか、そんなもんじゃない。

私は、完全に“脱がされ”つつある状態になっていた。


い…いつの間にっ?



「ま…待って!」



今まで何度も襲われかけてきたけど、ここまで来たのは初めてだ。

これはヤバイ。

って言うか、ダメでしょう?



「……無理だよ。」



必死で服をガードしようとしたのに…

その手をいとも簡単に絡め取って。



「ずっと待ってたんだよ?さすがに、これ以上は待てない…」



ゆっくりと顔を上げながら、“獣王子”は困ったように笑った。


そして、



「もう限界。これ以上我慢したら、そのうちホントに襲っちゃうよ?」


「……っ」



指先にちゅっとキスを落として、私の動きを封じ込めて…

ぐっと近くなる距離。

重なり始める体温。




……な…なんで?

なんでこんなことになっちゃってるの?



いつもなら、あの黒いのが絶妙なタイミングで現れるくせに…

なんで今日は来ないの?



この状況で。

こんな精神状態で。

このままじゃ、私……





「……痛かったら、左手上げてね?」


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