黒猫*溺愛シンドローム
今すぐ抱っこして、ベッドに連れてって添い寝してあげたいくらいなんだけど……
そんなことしたら、さすがに引っ掻かれ…じゃなくて、怒られるよね。
じゃあ、とりあえず……
「浅海さん、すぐ帰るよね?」
「……ん。」
「じゃあ、一緒に帰ろう?」
「……ん?」
言うや否や、俺は鞄と彼女の腕を掴んで立ち上がった。
そして、
「ちゃんと送って行くから、家教えてね?」
にっこり笑って、彼女の手をぎゅっと握る。
うわぁっ。
ちっちゃい手。
女の子って、こんななんだ?
……なんか、ドキドキしてきたかも。
「……えっ?なっ……ちょっ……」
力を入れたのがまずかったのか……意識を取り戻しつつある彼女。
これはヤバイ。
「さぁ、帰ろう。」
有無を言わせず、とにかく連れて行ってしまおう。
まずは、
“放課後デート”ならぬ“放課後のお散歩”から。
ゆっくり、でも確実に
距離を縮めていかないとね。