黒猫*溺愛シンドローム
「ごめんね。手伝わせちゃって。」
申し訳なさそうに言ってるわりには、なぜか妙に嬉しそう。
さっきから、やたらにこにこしてるし、声は弾んでるし……
なんか嫌な予感がするんだけど……仕方ない。
「……いーえ。」
悪いのは、私ですから。
「あ、帰りはちゃんと送って行くからね。」
極めつけの“王子様スマイル”。
いい加減、見飽きたって言うの!
「電車通学なので、結構です。」
なるべく素っ気なく返して、“迷惑オーラ”を出してるってのに……
「え?でも、駅から家まで結構あるでしょ?
あんな薄暗い道を1人で歩かせるわけにはいかないよ。」
全く気づきもせず、そいつは相変わらずの笑顔を浮かべる。
……そうなんだよね。
この前、なぜかうっかり家の場所を教えてしまった…と言うより、知られてしまい……
それ以来、逃げられなくなってしまった。