黒猫*溺愛シンドローム




ここは、資料室。


国語だか社会だかの資料が一括して保管してあるらしく、本棚がひしめき合ってて…図書室みたい。


こんな場所があること自体、私は知らなかった。


と言うか、ここって明らかに“教師専用”だよね?


普通、生徒は来ないでしょ。


しかも、またしても……



「ここから古いのを出して、こっちの新しいのを順番に並べていくだけだから。」



一緒にいるのは、風見歩。


放課後の校内。


狭い密室に2人きり。


コイツには前科もあるわけだし、かなり危険な状況であることに間違いないんだけど……



「自業自得ってやつ、か」



小さく呟いて、私は机に積み重ねられた冊子を手に取った。








―――…………



――……




遡ること、数十分前。


帰り支度をしていた私に、王子様は言った。



「放課後、時間ある?」


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