黒猫*溺愛シンドローム




「……は?」



鞄を持って立ち上がりかけたのに、意味深な発言につい動きを止めてしまった。



「浅海さん、先週ほとんど出てないでしょ?」



「え?」



「堀井先生の授業。
ことごとくサボってたよね?」



……うっ。


そう言えば……



「あの先生、意外にそういうの気にするんだよね。

で、しっかり覚えておいて、後になって持ち出してくるから。」



……確かに、去年はそれで痛い目にあった気がする。



「今のうちに、挽回しておいたほうがいいと思うよ?

細かい“点数稼ぎ”が案外きいたりするから、ね。」



「……っ」



コイツは……



「俺からもしっかりアピールしておくから。
手伝ってくれる…よね?」



当然、“拒否権”なんてものが存在するわけもなく……


まんまと乗せられてしまった私。






そんなわけで



現在に至る―――




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