黒猫*溺愛シンドローム
「……捕まえちゃった。」
悪戯な声が聞こえたかと思うと、
「これでようやく、抱き心地を確かめられるよ。」
私の身体に回された腕に力が込められた。
「ちょっ……」
あり得ない。
何、コレ。
逃げようともがいてみても、当然ながら、びくともしない。
それどころか……
「うわぁ…“女の子”ってこんななんだ?
小さいし柔らかいし…なんか、すっごい気持ちいい。」
わけのわからないことを呟きながら、肩口に顔を寄せてきて。
気づけば、頬がくっつきそうなくらいの至近距離にあった“綺麗な”顔。
「……いい匂い。」
形のいい唇から紡ぎ出されるのは、明らかに“変態”発言。
「“抱き心地”も最高。」
……ヤバイ。
このままじゃ危険だ。
わかっているのに、身体が動かない。
まるで金縛りにあったみたいに、動けない。
「……やっぱり、カリンとは全然違うなぁ。」