黒猫*溺愛シンドローム
「アイツは気がきくからなぁ。だからって、甘えちゃダメですよ、先生。」
「……だな。それより、どうする?鍵、取りに戻るか?」
「あー…急ぎじゃないし、また後でいいですよ。
鍵って1つしかないですよね?風見を探すのも大変だし……」
「そうか?じゃあ、また……」
ゆるやかに進んでいく先生たちの会話。
でも、これって……
「ちょっとっ!」
小声で。でも確実に怒りをこめて私は言った。
「どういうこと?」
「……ああ。」
思いっきり睨みつけているのに、全く動じない。
そこがまた、腹立たしい。
「あれ、堀井先生の言ったこと本当なの?
頼まれたんじゃなくて、自分からって……
しかも、なんで鍵閉め……」
「声、大きいって。」
興奮して、声のボリュームが上がってしまっていたらしい。
風見歩は、慌てて私の口を覆った。
「なっ……」