黒猫*溺愛シンドローム
「でも、おかしいなぁ。
さっき、この部屋からすごい音がしたって聞いたから、てっきり風見がいるものだと……」
「資料でも落ちてきたんじゃないですか?ここの本棚、意外に古いし。」
「そうかな……。
まさか、風見から鍵を手に入れた生徒が、ここでいかがわしいことを……」
「アハハ。堀井先生、考えすぎですって。」
……いーえ、メガネ先生。
まさに、そうです!
しかも、それを実行しているのは……
「んーっ……」
もがいても、びくともしない。
声を出そうにも、もちろん出ない。
それどころか、呼吸することすらできない。
だって……
「じゃあ、行きましょうか。」
遠ざかっていく2人の足音と共に、
私の意識も遠退いていきそうだよ……
「……はぁ。やっと行ったね。」
パッと私を…私の唇を解放した“王子様”は、余裕の笑顔。
「息継ぎの練習、したほうがいいかもね。」
肩で息をしながら必死で酸素を求める私を見て、クスリと笑った。