黒猫*溺愛シンドローム
「……なんか、最近妙にイライラするんだよね。」
ある日の昼休み。
ケータイをいじりながら、パンを頬張っているダイスケに向かって呟いた。
「カルシウムが足りないのかなぁ?」
……あ。牛乳にすればよかったかも。
ちょっと後悔しつつ、買ったばかりのジュースにストローをさす。
「帰ったら、カリンに煮干しをわけてもらおう。」
ついでに、当分は魚料理にしてもらおう。うん。
そう決意して、昼食にとりかかろうとしたとき……
「……お前って、本当に鈍いよなぁ」
ダイスケが呆れたようにため息をついた。
「カルシウムなんてきくわけないだろうが。」
「え?」
「お前のイライラの原因は、あれだろ、アレ。」
言いながら、ある一点を指差した。
視線を向ければ……
「……っ」
見たくない光景が目に入ってくる。
「あんなの見せつけられたら、
さすがの“王子様”も、心中穏やかじゃいられないよなぁ。」