黒猫*溺愛シンドローム
「ここんとこ、毎日だもんな。」
ここからは、中庭がよく見える。
緑いっぱいでベンチもあって、日当たりは抜群。
そこで昼休みを過ごす生徒も少なくはない。
今日も、たくさんの生徒で溢れている。
でも、
同じ制服の生徒がどれだけ集まっていようが、俺の目に映るのはひとりだけ。
どんなに遠くからでも見間違えたりはしない。
「好きな女が、別の男と一緒に弁当広げてりゃ…
そりゃイライラもするだろうよ。」
……そう。
ダイスケの視線の先には、仲睦まじい一組の男女。
いや、正確には、他にも周りに何人かいるんだけど。
まぎれもなく、
俺の…ものになる予定の、大好きな彼女の姿。
「しかも、あんなに楽しそうに……」
……あんな“笑顔”、俺は見たことがない。
最近は目も合わせてくれないし?
だから、見られて嬉しいなんて思ってしまう自分もいるわけだけど……
「意外だよなー。浅海に“男友達”がいたなんて。
あ、実は“彼氏”だったりして?」