黒猫*溺愛シンドローム
「ちょっ…だから、触らないでってばっ。」
「それは無理。」
だって可愛いんだもん。
さらにぎゅーっと握ってみれば、
「私にとって、あんたは“不審者”!危険極まりない人物よっ」
さらにかぁーっと顔を赤くして叫ぶ彼女。
「不審者?危険?失礼だなぁ。俺のどこが?」
「全部が、よ。この前だって……」
言葉を詰まらせて、なぜか俯いてしまった。
……ん?
「み…密室に連れ込んで、あ…あんなことして……」
密室?……ああ。
「あれは、なかなかスリルがあって楽しかったよね。」
「……はっ?」
別に、何かをしようと思ったわけじゃないんだよ?
ただ、一緒にいたかっただけ。
まあ、結果的にあんなキスをしてしまったわけだけど。
「今度からは、ちゃんと、場所を考えてするようにするから。」
「な…なにを?」
「だから…「風歩っ!」
俺の言葉は、廊下から聞こえた声によって遮られた。