黒猫*溺愛シンドローム
「修ちゃんっ!」
……“修ちゃん”?
すぐさま俺の手をふりほどいて、彼女は席を立った。
「何?どうしたの?」
そして、教室の入り口へと駆け寄っていく。
そこにいたのは……
「言い忘れたんだけどさ、」
……あ。
さっきまで、浅海さんと一緒にいた男…だ。
見かけたことはあるかもしれないけど…たぶん、俺は面識はないと思う。
ネクタイの色からすると、同じ学年?
長身で細身だけど、
日に焼けた肌にがっしりした体つき。短い髪。
いかにも、“スポーツやってます”と言う感じ。
笑顔は爽やかだし……たぶん、モテるだろうなぁ。
「今夜は、俺ん家な。」
「え?あぁ……」
「時間、ちゃんと守れよ?いっつもお前のせいで遅くなるんだから。」
「わかってるってば。」
……何?
この親密な会話。
“今夜”って……夜に会うってこと??