黒猫*溺愛シンドローム




「はじめましてっ!

森村来実(クルミ)です!」



ふわふわの栗色の髪。


くりくりした大きな瞳に、小さな身体。


なんか…小動物みたいな女の子。


もちろん、初対面なんだけど……



「感激だなぁ。くるみね、“王子様”歩くんと話してみたかったんだ。」



とてもひとなつっこい子、らしい。


邪気はないし。


なんとなく、つられて笑顔になってしまう。



「えっと…“王子様”って?」



ダイスケにもよく言われるけど、なんでこの子にまで?



「え?だって“王子様”なんでしょ?みんなそう呼んでるよ?」



きょとんとした顔で言われてしまった。



「そうなの?」



それは初耳だ。



「え?まさか、気づいてなかったの?うわぁっ。歩くんって天然さんだねぇ。」



さらににこにこする彼女。



「でも、くるみは“王子様”とは呼ばないよ。」



「え?」



「だって、くるみの“王子様”はひとりだけだもん。」


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