黒猫*溺愛シンドローム
“買い物につき合ってほしい”って、くるみにお願いされたのは3日前。
いつものことだから、たいして気にもせずに引き受けたわけだけど……
「俺が誘っても、浅海さんは絶対に断るでしょ?
だから、くるみちゃんに協力してもらったんだ。」
にっこり笑って、さりげなく私の鞄を掴んで、
「だから、行こう?」
ついでにしっかり手まで握り直して……私を教室の外へと連れ出した。
「ちょっ……」
抵抗する間もなく、引きずられていく私。
女子生徒の黄色い声とか、男子生徒や先生たちの好奇の視線とか……
ものすごく目立っているにも関わらず、隣のこいつが気にする様子は全くない。
“慣れ”ってやつ?
そりゃ、普段から注目を集めてる人はいいけど、私は違うんだから。
地味にひっそり生きていきたいの。
なのに……
なんで、こうなるわけ?