黒猫*溺愛シンドローム
「くるみね、あゆちゃんとお友達になったんだよ!」
満面の笑みで報告されたのは、つい最近。
くるみは、“人見知り”とか“物怖じする”とか、そう言った類いの言葉とは無縁の人間で、
昔から、誰とでもすぐに仲良くなってしまう。
そして、なぜか私にそれを報告してくる。
子供のときから一緒にいるから、くるみにとっては習慣みたいなものなんだよね。
「……ふーん。よかったね。で、どこの“あゆちゃん”?」
名前を言われても、正直、私にはわからない。
くるみの交遊関係は、広すぎるから。
いつものように聞き返した私に、
「あゆちゃんはあゆちゃんだよっ。風歩ちゃんもよく知ってるでしょ?」
くるみは口を尖らせて言った。
“あゆちゃん”……?
同じクラスにでもいたっけ?
首を傾げる私に、
「だからぁ、
風歩ちゃんの“王子様”になる予定のあゆちゃんだってば。」
じれったそうに頬を膨らませて、叫ぶくるみ。
……は?
“あゆ”って、それ?