黒猫*溺愛シンドローム
「どうぞ。」
テーブルの上に置かれた、2人分の紅茶。
見るからに高そうな、センスのいいティーカップ。
香りからして、この茶葉だって相当なものだろう。
「歩が女の子を連れて来るなんて初めてだから、なんだか緊張しちゃうわぁ。」
にこにこしながらそれを出してくれたのは……
「浅海さんってば、歩の言ってた通り、可愛らしいんだもの。……本当、カリンにそっくりだわぁ。」
……いやいや。
あなたたちのほうがそっくりですから。
“王子様”のお母上。
その笑顔も話し方も。纏っている雰囲気そのものが、遺伝子の成せる業って言うか……
「この親にしてこの子あり」みたいな?
若くて綺麗で……でも明らかに“天然な”女の人。
「それも、よく似合ってるわね。」
彼女の視線の先には……
「カリンとお揃いね。」
私の左手首に巻き付けられた……“呪いの”ブレスレット。