黒猫*溺愛シンドローム
「浅海さん、ごめん。
カリン、散歩に出掛けてるみたいで……」
呪いをかけた張本人が戻ってきた。
「じゃあ、ごゆっくり」
それと入れ違いに、部屋を出ていく“お妃さま”。
……そう。ここは、何を隠そう“王子様”の自室で。
私はたった今、最も危険な状況に身を置くことになってしまった。
「まぁ、いいか。そのうち帰ってくると思うから……待ってよう?」
言いながら、私のすぐ隣に腰を下ろす王子様。
思わず、体がビクッとしてしまった。
だって……
「あ、これかけておくから脱いじゃっていいよ?」
ふいに、私の制服のブレザーに手を伸ばしてきた。
「自分でやりますっ」
すぐに振り払ったものの、心臓はあり得ないくらいの早さで動いている。
……危険だ。
前科だらけの男と“ふたりっきり”っていう時点ですでに危ないのに、
ここってば、完璧にコイツのテリトリーだもの。
すごく
嫌な予感がする。