黒猫*溺愛シンドローム
……コイツは。
すべての基準は“猫”なわけね?
だったら、一生猫と一緒に暮らせばいいじゃない。
“人間の”私のことは放っておいてほしい。
「そう考えれば、俺と浅海さんは相性バッチリなはずだから。気にしなくて大丈夫だよ。」
にっこり微笑む王子様。
何をどう考えて、
一体、何が大丈夫だって言うのか……
もう、わけがわからない。
なんか、私が何を言ってもコイツには勝てない気がする……
大きくため息をついた、そんなとき。
「そうだ。ハイ、これ。」
目の前に何かが差し出された。
「……?」
「浅海さんのために、用意したんだ。」
「は?」
「可愛いでしょ?カリンと色違いだよ。」
それは……
「カリンは赤で、浅海さんはピンク。」
この部屋には、明らかにそぐわない……ハート型のクッション?
しかも、フリルまでついてるし。
よく見れば、ベットの上にも同じものが……
「遠慮しないで使ってね?」