黒猫*溺愛シンドローム
「……。」
それを手にしたまま固まる私に、期待に満ちた視線が突き刺さる。
……ああっ、もうっ!
使えばいいんでしょ?使えばっ。
仕方なしに、それを床に置いて腰に当てがえば、
「わぁ。やっぱり合ってるね。可愛い。」
めちゃくちゃ喜んでるし。
絶対、おかしいよね?
こういう人を“変人”とか“変態”とか言うんだよね?
みんな、知らないのかな?
学園の王子様はこんなにも変わり者で、特殊な趣味を持ってる…なんて。
被害者は私だけ?
私って、どこまでツイてないんだろう?
そりゃ、これさえなければすべて完璧だよ?
でもさぁ……
「あ、そうだ。せっかくだから……」
弾んだ声。
今度は何?
うんざりしながらも、そっちを振り返れば……
「……わっ。ちょっ…何?」
ふわりと、宙に浮いた体。
「わーっ、やっぱり軽いね。」
すぐ近くで聞こえる、楽し気な声。
そして……
「さ。寝てみよっか?」