黒猫*溺愛シンドローム
……今、何て?
「やっぱり、ダメだね。
俺も“健全な”男子高生ってやつみたい。」
……はい?
「別に、こういうつもりじゃなかったんだよ?でも……」
申し訳なさそうに言いながらも、じりじりと近づいてくる顔。そして、体。
「“好きな女の子”が自分のベットに寝てたら、やっぱり変な気分になるんだよね。」
「へ…変なって…」
いつのまにか、覆い被さるような格好で私を見下ろしている“王子様”。
その瞳は、今までとはまるで違う。
なんて言うか……
「こういう気分になるから、みんなそういうことをするんだね。」
……意味不明。理解不能。
“こういう”って何?
「ごめんね?俺のことを好きになってくれるまで待つつもりだったけど……無理みたいだ。」
「何言って……」
「今すぐ、欲しくなっちゃった。」
綺麗な瞳で。
綺麗だからこそ、無駄に妖しく色気を含んだ笑みを浮かべて。
ゆっくりと近づいてきたその顔から、
私は逃げられなかった。