黒猫*溺愛シンドローム




「んっ…」



塞がれた唇。

温かい感触。


甘く、やさしく……くり返されるキス。


私の頭の中は真っ白で、何も考えられない状態で…抵抗すらできない。


まさに“されるがまま”。


心臓の音だけがやけにリアルだけど、他は夢の中みたいって言うか…なんか、心地よくて……


って、ダメだよっ!


これって、私完全に“襲われてる”んだよね?


つき合ってるわけでもなければ、“好き”って感情もない男に。


抵抗しなきゃ。


……そう思うのに。


身体が全く動かない。


“動けない”んじゃなくて“動かない”んだ。


力づくで押さえつけられてるわけでも、乱暴に拘束されてるわけでもないのに。


むしろ、やさしく。


壊れ物を扱うように、私の身体に触れる手……ん?



「わーっ!な…何して……」



事態を把握した途端、思わず叫んでしまった。


いつの間にか、唇は解放されていたものの……



「なんで、ボタンをはずすの?」


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