黒猫*溺愛シンドローム
「俺、浅海さんが考えてる以上に、浅海さんのこと、好きなんだよ?」
やっと解放されて、息を整える私にそっと囁く声。
「だから、全部ほしい。
俺のものに…俺だけのものになってほしいんだ。」
「はっ?」
何、勝手なことを……
「この髪も。この唇も。
身体全部、俺のものにしたい。」
言いながら、順番にキスを落としてくる。
「……っ」
もう、抵抗すらできない。
抵抗する気力すら、ない。
……私、どうすればいいわけ?
これが“恋人同士”だったら、それはもう素敵な愛の言葉になるよ?
もしくは、想い合ってる男女なら、最高の告白だよ?
でも、私たちは……違うよね?
私は、コイツのことを好きだなんて一度も……
「その瞳……」
じーっと見ていた私の視線に気づいたのか、パッと顔を上げた王子と目が合う。
「その瞳には、そのうちきっと、俺しか映らなくなるよ?……カリンみたいに、ね。」