黒猫*溺愛シンドローム
グッドタイミングで現れたのは……
「カリン!」
ベットに横たわる私の上を思いっきり踏んづけて、“ご主人様”のもとへと向かう小さな手足。
「え?どこから来たの?
もしかして、最初からこの部屋にいた?」
「にゃーっ」
驚く“ご主人様”。
その目の前に、お行儀よくちょこんと座る黒い猫。
……って、ちょっと。
そこ、私の顔!
尻尾を動かすな、尻尾をっ。
長い尻尾がゆらゆら揺れてるせいで、目を開けることもできない。
明らかに、私を無視してるよね?って言うか、存在自体見えてないよね?
さっきの言葉が鮮明に蘇る。
……確かに。
あなたの“愛猫”は、
あなたのことしか見えてませんよ。
「でも、ちょうどよかった。」
ふっと、顔の上の物体がなくなったと思ったら、
「……わっ。」
いきなりぐいっと腕を引かれて……
「紹介するね。」