黒猫*溺愛シンドローム




部屋を出て行く直前。


カリンが振り返って、もう一度私を見た。


その瞳はまるで……



「……さ。カリンも行っちゃったし、さっきの“つづき”しよっか?」



ぼーっとドアのほうを見つめていた私は、その声で我に返った。



「……はっ?」



“つづき”……?って、
あぁっ!


慌てて、乱れた服に手をかける。


そうだよ。忘れてたけど、私、さっき……



襲われかけてたんだ!



「カリンに紹介もできたし。なんか、気に入ってもらえたみたいだしね。」



はぁっ?違うでしょ?
あれは、明らかに…って、今はそういう場合じゃなくて……



「これで将来的にも安心だ。」



にっこり笑って、ゆっくり近づいてくる王子…じゃなくてケダモノ。



「でも、やっぱり、
こういうことはカリンのいないときにしないとね。」



「ちょっ……」



「猫と“彼女”はやっぱり違うから。

いくらカリンのことを愛していても、同じことはできないし。」


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