黒猫*溺愛シンドローム




ここは、高校の屋上。


本来は“立ち入り禁止”だから、存在自体があまり知られていないんだけど、

一部の生徒の間で、鍵が出回っていたらしく……


この前、ここでタバコの吸い殻が見つかって、ちょっとした騒ぎになった。


それを機に、鍵が変えられたわけだけど……



「立ち会ったの、俺なんだよね。」



“王子様”は、さらっと言った。



「こういうの、生徒会の仕事だからさ。

そのとき、業者の人がくれたスペアキー。コピーさせてもらったんだ。」



……コイツ。
悪びれもせずぬけぬけと。

先生たち、絶対に騙されてるよね?

こんなやつに任せちゃっていいの?



「俺もそのとき初めて入ったんだけど、すごい気持ちよかったから。

浅海さん、喜ぶだろうなって思って。」


「……へっ?」


「ここでの“ひなたぼっこ”は、きっとすごく気持ちいいよ?だから…」


「ちょっ…」



ぐいっと腕を引かれて、気づけば肩を抱かれていて……



「一緒に、寝よう?」



甘い囁きが降ってきた。


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